Doré, Ochsner et al 2017:他者への感情制御が自身の制御スキル獲得に繋がる

Doré, B. P., Morris, R. R., Burr, D. A., Picard, R. W., & Ochsner, K. N. (2017). Helping Others Regulate Emotion Predicts Increased Regulation of One’s Own Emotions and Decreased Symptoms of Depression. Personality and Social Psychology Bulletin, 43(5), 729-739.

オンラインプラットフォームで,自分の問題を書き込むこと (sharing),および他者の問題の感情制御を支援すること (helping: acceptance, reappraisal, pointing out distortion) を3週間実施した。
結果として,helpingによって,再評価傾向が高まり,抑うつが低減することが示された。
また,WBなどの他の指標においてもポジティブな変化が認められた。
加えて,他者視点を取得してhelpingをしたとき (操作的には2人称コメントをしているとき) には,上述のポジティブな効果がエンハンスされるという結果も得られている。

【abstract】
これまでどのように自分の感情を制御するかについては多くの研究が蓄積されてきたが,他者の感情を制御することについては,そのメリットをはじめ検討されてこなかった。
本研究では3週間のオンラインプラットフォームでの社会的感情制御の訓練,実践について検討した。
結果として,他者を助ける参加者ほど,sharing,あるいはサポートを受けた者より日常的な再評価傾向の増大に媒介されて,抑うつが減少することが示された。
また,他者焦点言語 (i.e., 2人称second-person pronouns) を用いた社会的制御メッセージが,(a) 受けてからの感謝を引き出すこと,(b) 送り手の経時的な再評価傾向の増加を予測することが示された。
こうした結果は視点取得が社会的制御実践の利点を増大させることを示唆している。
本研究の結果は,感情制御における社会的志向訓練のメカニズムの一端を紐解き,他者制御の支援によって,自分自身の制御スキルと感情的WBを増大されることを示している。

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