Smallwood & Schooler 2014: マインドワンダリングに関するreview論文

Smallwood, J., & Schooler, J. W. (2015). The science of mind wandering: empirically navigating the stream of consciousness. Annual review of psychology, 66, 487-518.

マインドワンダリング (Mind Wandering: MW) の測定の仕方から始まり,重要な要素である自己生成的思考とmeta-awarenessを取り上げる。その後,実行機能などとの関連を言及した上で,MWのコストとベネフィットに言及している。最後に,MWを低減する方法の記述もなされている。

◆マインドワンダリングのbenefit

▶Prospection.
MWによって,Prospection が促進される (Baumeister &Masicampo 2010, Baumeister et al. 2011)
→心的対比mental contrasting (ポジティブなこと考えてから,ネガティブなことも考える) の過程が必要かもしれない

▶Creativity.
MWが創造性を高める
・MWと物の使い方テスト成績 (拡散的思考の指標) に相関がある (Baird and colleagues 2012)
・MW (を誘発しやすい負荷の低い) 課題実施時に,rest,および外的注意課題時より孵化効果が強かった (Baird et al. 2012)
・MWと社会的問題解決課題の成績 (のようなもの) が正の相関 (Ruby et al. 2013b)

▶Meaning.
・mental time travel (想起,あるいは予期した出来事について考える) をすると,人生の意味に関する主観報告が促進される (A. Waytz, H.E. Hershfield & D.I. Tamir, manuscript under review).
→MWには,過去,および将来の出来事に関する思考が含まれることを踏まえれば,MWも人生の意味を見出すプロセスにポジティブな影響を及ぼすかもしれない

▶Mental breaks.
MWは退屈を緩和するのではないか? あるいはある種のリラックスをもたらすかもしれない
・MWをしやすい人は,退屈な課題における気分の低下が緩衝された (Baird et al. 2010)
・将来に関する自己生成的思考は,不快な気分からの緩和をもたらす (Ruby et al., 2013a)
・MWは脱馴化に関与する (Mooneyham & Schooler 2013)

▶Parallels to night dreaming.
夢とMWの共通点 (Fox et al. 2013)
・知覚入力への注意がなくなる
・自己関連思考が付随する
・実行機能やメタ認知過程が介在しえない
・創造的な孵化効果と関連する (Cai et al. 2009).
・ネガティブな内容であることが多い (Killingsworth & Gilbert 2010, Ruby et al. 2013a)

夢の機能:出来事のシミュレーションを促進し,脅威への準備を整える (Revonsuo 2000).
→MWも同様なのではないか?

MWの測定方法や,実行機能との関連,MWを低減する方法なども含めた全内容の要約のようなもの (日本語) も作成しています。
MWは専門ではないので,微妙な精度のはずですが,興味があればご連絡ください(*. .)..

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