Van Dillen & Koole 2007: distractionによるWM消費によって,ネガティブ感情が緩和される

Van Dillen, L. F., & Koole, S. L. (2007). Clearing the mind: a working memory model of distraction from negative mood. Emotion, 7(4), 715-723.

distraction:ネガティブな刺激や思考,感情からニュートラルな刺激や思考などなどに注意を移行することで,ネガティブ感情の緩和を図る感情制御方略。
e.g., 試験に失敗して悲しいので,本を読んで,嫌な気持ちを軽くした
e.g., 上司に怒鳴られた怒りが湧いたので,全く関係ないことを考えた
(distractionは,日本語では「気晴らし」と訳される。気晴らしというと,カラオケやスポーツが思い浮かぶため,「遊ぶこと」と捉えられてしまうこともあるが,distractionの本質は「注意が (ネガティブでない対象に) 移行すること」にある。)

3つの実験 (特に実験2,3) を行い,distractionにおける課題負荷(Working Memory: WM負荷) が大きいほど,ネガティブ感情が緩和されることを示した研究。

この理由については,
distractionによって,WMが消費されることで,ネガティブ感情,あるいはそれに関連した思考を処理するためのWMが減衰する。
その結果として,ネガティブ感情体験が減少したと考察されている。

◆関連研究
Van Dillen, Heslenfeld & Koole 2009

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